2017年12月15日金曜日

12月15日

石川汎監督「世界でいちばん美しい村」を監督のご厚意で日本人会の会員向けに上映していただきました。2年前の4月の地震の震源地の村ラプラックの住民の悲しみと復興の足取りをドキュメンタリーにしたものです。人口4,000人のグルン族の村ですが、この村だけのグルン語方言を話すそうです。

主人公の家族も参加してくれました。皆さんカトマンズは初めてだそうです。バスに乗ったのも。主人公の長男は聴衆の前で実に堂々と挨拶します。カトマンズで就学したいとのことです。食事を一緒にしてもらいましたが、初めての日本の食べ物をおいしそうに楽しんでいたのにはほほえましさを感じました。

この家族と話しながら、私の時計は45年前にさかのぼります。当時、東部山地オカルドゥンガ郡のルムジャタール村に1年間住んで農村社会調査をしていました。ここもグルン族の村です。

この村まで、ラムサングからチャリコット経由で1週間歩きました。エベレストに登頂してきたばかりのソナム・ギャルツェン・シェルパがガイドしてくれました。

寝る場所は民家の軒先です。食事も民家で作ってもらうことがありました。謝礼は1ルピー(当時で18円)です。高地の茶屋ではジャガイモの蒸したのを出してくれました。ピンポン玉程度の大きさが格段においしいのです。私の足が遅くてバザールに行きつかないときは、ソナムが野の草を摘んでサーグ(菜っ葉)炒めにします。

モンスーンのさなか毎日ヒルに吸われます。雨の中を山中の掛け小屋に泊まった時です。見知らぬ人をナイフで刺した夢を見ました。朝起きると手のひらにべっとり血がついています。正夢かと慌てますが、夜中にヒルが吸い付いた痕でした。

オカルドゥンガバザールから1時間ほど離れたテカンプール村にミッション系の病院があり伊藤先生とご家族が住んでいました。ここに着いた途端激しい嘔吐と下痢に襲われました。山中の食事や水からジアルジア原虫をもらって発症したようです。今日に至るまで、体力が落ちた時に発症します。

目指す村まであと4時間です。村では下宿先を決めて一度カトマンズに戻ることにしました。帰路は道を南にとってスンコシ河を越えてジャナクプールに出ました。


(スガジイ)