2017年2月24日金曜日

クマさん大王の物語3

さて、森の生活を決めるのがクマさん大王からゾウさんたちに移ったのですが、一部のゾウさんたちが自分たちは別の考えがあると森の奥深くに去ったことまでお話ししました。
このゾウさんたちは奥の森の小さな動物たちと一緒に、森の真ん中にいるクマさんやゾウさんを力でねじ伏せて自分たちのやり方を見せてやろうと、近くの森でキツネさんたちを襲うようになりました。真ん中のゾウさんたちもこれに抵抗しますが、仲間割れが続いたために、奥の森のゾウさんたちの力がどんどん広がります。
森の混乱は収まりません。クマさん大王は長いこと兄弟たちと森の在り方を話し合っていたのですが、混乱の中突然死んでしまいます。兄弟が大王になって、大王の部下の強いトラさんチームを混乱地域に送って昔の生活を取り戻そうとしましたが、多くの動物たちが抵抗してなかなか収まりそうにありません。
そんな中、お兄さんの跡を継いだクマさん大王は、一度ゾウさんや小さな動物たちに譲った森の生活を決める仕組みですが、森が混乱しているのはゾウさんに力がないからだとして、やっぱり大王がすべてを決めるんだと言い出したのです。また昔のようになってしまいました。小さな動物たちは失望して打ちひしがれます。中央の森のゾウさんたちは、それでも自分勝手なことを言い合って仲たがいが続きます。
新しいクマさん大王はいつまでたっても小さな動物たちのことを考えてくれません。動物たちの不満はどんどん大きくなります。さすがのクマさん大王もこれ以上威張ってもいられません。中央の森のゾウさんと小さな動物たちは、やはり自分たちのことは自分たちで決めようと、一緒になって遠くの森のゾウさんと話し合いで混乱を収めることに決めました。(つづく)
(スガジイ)

2017年2月17日金曜日

東風吹かば・・・

216日伊豆河津の桜祭りに行ってきました。特急踊り子号10両編成の大半の乗客が河津でおります。天城山から流れ下る川に沿って緋寒桜が満開です。この季節の桜は春を待ちきれない人々を魅了しています。平日にもかかわらず1万人は下らない人たちです。出店も大賑わいです。
一方、わが湯河原では梅まつりが始まりました。24日の開園日に早速行ってきましたが、梅はまだ3分咲でした。会場は幕山のふもとです。ハイキングコースでもあり、ロッククライミングのゲレンデとして人気があります。出店の数も集客力も河津には遠く及びません。それでもJR駅からのバスは満員です。地味ながら健闘しているといっていいでしょう。
湯河原や河津に共通しているのは、高度成長期に団体客で栄えた成功体験を持つ温泉場の「町おこし」です。旅行の形態が団体から個人に移り変わって久しいものがあります。また、両地とも首都圏から日帰りで楽しむことができるほど交通事情がよくなりました。温泉旅館の中には、温泉と夕食を提供し宿泊はしないというサービスも出てきました。まさに知恵の勝負といえるでしょう。
河津に比べて湯河原の梅まつりは規模も小さくイベントも地味です。桜と梅の華やかさの違いもあることと思われます。しかし、河津では、華やかさを演出するがために、地元の産物とかけ離れたお祭り気分のイベント出店を他所から集めているという印象がぬぐい切れませんでした。その点で湯河原の産物のみを出店している梅まつりには好感します。
がんばれ湯河原。17日は梅園に「狂言」を鑑賞に行ってきます。

(スガジイ)

2017年2月10日金曜日

松本榮一くんとの邂逅

高校の同級生で仏教研究家の松本榮一君とお会いしました。1974年にカトマンズで偶然に出会ってから長い付き合いが始まりました。松本君は写真家として出発し、1971年から3年間インドのブッダガヤで僧院生活を体験し、その後文筆活動も加えてインド、チベット、中国の仏教文化を紹介しています。
写真集では『チベット世界 極奧の大地』(小学館)等の仏教の伝搬過程、著書では『聞き書き ダライラマの言葉』、『聞き書き ダライラマの真実』(NHK出版)等、ダライラマ14世に知己を得てから40年にわたる親交の成果です。今般贈呈いただいたのは、昨年出版したイギリス人考古学者アレキサンダー・カニンガム著『マハボーディ寺』の翻訳とその解説をラームスループ・シン教授に取材・執筆した『カニンガムを読み解く』という稀覯本製作の大業です。原著の出版は1882年です。
マハボーディ寺の初期の寺院は、今から2,550年ほど前ブッダが苦行僧時代を6年過ごし、やがて成道された地である「ブッダガヤ」に、アショーカ王によって建立されました。インドにおける仏教の衰退とともに1,000年も放置され朽ち果てかけていた寺院を修復したのが、植民地時代にインド考古局を設立したカニンガムでした。カニンガムは、玄奘三蔵の『大唐西域記』を資料に修復したとのことです。
考古学の門外漢の私にとっては読み進めるのは苦痛と思いきや、古代から近代にかけてのインド社会の様子や周辺国との交わりがあたかも現地にいるような思いにさせるがごとくに書かれており、見知らぬ地への興奮がわいてきました。
(スガジイ)

2017年2月3日金曜日

大寒、立春そして雨水

先週は楽しい催しがありました。

まず、カナダ人「噺家(はなしか)」桂三輝さんの落語です。

一日目は日本語、二日目は英語の話「動物園」を演じてくれました。上方落語の大名跡「文枝」師匠のお弟子さんで、師匠の新作落語に共感を得て入門したのだそうです。上方落語の異才「桂枝雀」師匠の芸風も取り入れているとのことです。そういえば派手なアクションが入ります。

落語の魅力は何といっても噺家の「話芸」の力に尽きるのでしょう。長い歴史に洗練された「話の筋」はもちろんですが、何度も聞いてすっかり知り尽くした「はなし」でも思わず笑ってしまいます。

土曜日は運動会でした。

子供たちの元気な姿を見るのは楽しいものです。まして、広いグラウンドで陽をさんさんと浴びながら走る姿には次世代の躍動を感じさせます。大人たちも負けていません。私もパン食い競争に出走しましたが、残念ながらビリでした。年齢のハンディキャップはくれないのかなあ?

ポリスアカデミーのグラウンドは前日の雨で程よく湿っています。芝はまだ目覚めていませんが、土のにおいが心地よいのです。「もうすぐ春ですよ」と話しかけているようです。空の色は春の明るさでした。

ネパール月ファルグン(2月中旬~3月中旬)になると一雨ごとに温かくなります。

マハシバラトリ(シバ神の夜祭)がやってきます。パシュパティ寺院にはインド各地からも大勢の参拝者が集まります。サドゥー(ヒンドゥー教の行者)は大麻を吸って瞑想にふけります。気温は一気に春らしくなります。ホーリーの色粉かけ祭りになると初夏の陽気です。

寒さももう少しの辛抱です。

(スガジイ)


大寒