2016年8月26日金曜日

いつやる?今でしょ!

吉村昭著「関東大震災」を読みました。大正12年の政情不安定な時期の出来事です。東京、横浜は火災にも見舞われ、死者20万人の大惨事となりました。91日は防災の日として防災訓練が恒例です。


関東大震災の被災地では発災後、余震の続く中、流言が飛び交い、社会現象として悲惨な事態が起こったようです。昨年のゴルカ地震の際にも不自然な風説が広まりましたが、地震の翌日取引先官庁に行ったところ、職員は全員外にいます。「インド政府が3時に余震が来ると言っているので避難している」との理由からでした。人間は恐怖に勝てないものです。


識者は地震エネルギーが一部放出されていないとしています。《備えあれば憂いなし》来たる災害への備えをしておきましょう。《災害は忘れたころにやってくる》寺田寅彦の箴言です。



(スガジイ)


2016年8月19日金曜日

道ある土地は冨み、道なき土地は病む

7月初旬、極西部バジャン郡からの帰り、ナラヤンガト・ムグリン間の道路が土砂崩れで不通となり、ヘタウダ、クレカニダム経由でカトマンズに帰りました。この道が旅客ジープで混雑しているのです。


カトマンズから外に出る道がシン・バンジャン経由しかなかった頃、雨期には必ず1か月以上も通行止めが続きました。90年代にはムグリン道路がクリシュナビルの大地滑りで頻繁に遮断され、燃料はじめ生活物資の流通が止まり、カトマンズは陸の孤島となりましたが、昨今ほどの大騒ぎはなかったように記憶しています。


一方、チベットへ抜けるアラニコ道路は、ボテコシの洪水で再建に数年かかるほどの被害を受けました。ラスワ経由の道路は斜面の防護対策が不十分で、雨期に通行するのははなはだ危険と思われます。日本の技術で建設したシンズリ道路の信頼性が物流の拠り所となることでしょう。



(スガジイ)

2016年8月12日金曜日

オレオレ"シュ"ギ

皆さんは、ネパールの好きなところや嫌いなところをお持ちですよね。私も「どこが好きで長年この国に暮らしているのか」聞かれることがあります。ミッションもあるのですが、好きでなければ長年暮らせません。


好きなところは何といっても《ゆるゆるの社会》でしょうか。あるいは《いい加減さ》。あってないような《ネパリ時間》、《フンチャ・フンチャ》で何もしない社交辞令。ずぼらな私にとってこんな心地よいことはないのです。


ところが、最近気付いたのですが、都市に住むこの国の人たちは、想像もできないほどストレスを感じているようです。ネワールの友人に聞いたのですが、家庭で親は子供に「一歩家の外に出たら他人に負けるな」と競争心を教え込むのだそうです。自己主張にしのぎを削る《オレオレ主義》では世の中ギスギスしないでしょうか。


(スガジイ)

2016年8月5日金曜日

国土の持病(?)とその対策

ボテコシの洪水でバラビセから国境の町タトパニまでの道路が侵食され通行止めになっています。上流のチベットで起きた地滑りが天然ダムを形成して、それが決壊したようです。先の地震でも被害を受けた災害常襲地帯です。氷河湖が決壊して、ネパール側に大きな被害が出たこともあります。


私は、災害の起こりやすい地域の学校を訪問して、防災教育を続けています。映像や教材を通じて、災害から身を守る方法を教えます。生徒には作文や絵をかいてもらって、優秀作品を冊子に掲載して表彰します。


去年、ミャグディ郡の地滑りでカリガンダキ川に天然ダムができて川をせき止めた時、前年にプログラムを実施した下流のバグルン郡の学校の子供が教えた通り避難をしてくれ、プログラムの効果が確認されてうれしく思いました。


(スガジイ)