2016年11月25日金曜日

計画「給電」と改めよ

埼玉県で地下送電線の火災がありました。点検口のマンホールから火柱と黒煙が勢いよく噴き出しています。都内の58万戸が一時停電となりました。日本の政治・行政の中枢である永田町や霞が関でも供給が止まりました。この送電線は35年前に建設されて、60万キロワットの電力を都心に供給しているのだそうです。ネパールのすべての発電所を合わせたものに近い規模です。


驚いたのは停電が短時間のうちに解消したことです。別の系統を使って送電したのです。要因は異なりますが、2003年のニューヨーク大停電では送電システムの脆弱性が指摘されました。ネパールの内戦時の心配事の一つは、送電線の破壊とカトマンズへの電力供給の停止でした。幸いにして、良識をもって?行動されたようです。(農村の小規模発電施設は何ヶ所か破壊されたのですが)それほど電気は現代社会になくてはならないと認識されており、また要求されているのでしょう。


ネパール電力庁はかつて電力需要の伸びとそれに見合った発電所建設計画を年次報告書で発表していました。発表されなくなって久しいのですが、理由は計画しても建設が実行されないからとのことです。何か他人事みたいな話ですね。計画のとおり実施されているのは停電のみです。ケーガルネ!(どうしようもない!)


(スガジイ)

2016年11月18日金曜日

ヒトのあじ

かつての国営電話会社から電話がありました。光通信の勧誘です。

代理店から詳細の連絡がありました。詐欺電話かとも疑いながら話を聞くと、そうでもなさそうです。申し込みが多数あるので工事は一か月後になるといいます。早くできないかと交渉するうちに、代理店氏は「こっちから頼んでいるのではない」とブチ切れてしましました。

家の近くにおいしいラーメン屋があります。

日本にいると一度は行くのですが、今回何か違和感がありました。曰く「これより先立ち入り禁止」、「水のポットは所定の位置より移動しないこと」。門切り型の張り紙のせいかもしれません。表現力の貧困なのでしょうか、あるいは傲慢なのでしょうか。

芥川賞受賞作の『コンビニ人間』を塩野七生さんが文芸春秋11月号の巻頭エッセイでこのように評していました。

《マニュアル化された事柄だけをやっているだけでよいという心地良い安心感と、それと裏表にある、「個」が存在しない世界の索漠さ。》

またこのようにも述べています。

《責任感とは感受性の問題であり、感受性とは相手の立場に立って考えることでもあるから、想像力の問題でもある。つまり、究極の人間的な「味付け」だ。》

ひょっとして、自分や自分の世代の話ではないよねと一瞬立ち止まりましたが、これってすでにマニュアル人間的発想かと思いを致した次第です。

(スガジイ)



2016年11月11日金曜日

老嬢二マと城山に

   
ツワブキの鮮やかな黄色い花が庭のそこここに咲き始めました。10月下旬です。この花の時季は長いのです。カキの実も木の高いところは野鳥のために残しておいて取り終わり、葉も片隅から色づき始めています。夏ミカンのまだ青々としていますが、少しずつ大きくなっているのがわかります。

近くの城山にミニチュアダックスフンドの老嬢ニマを連れてハイキングをしました。家から2時間ほどで頂上に着きます。ニマは短い脚でよく歩きます。道々ドングリを拾い集めます。盆栽に仕立てるのです。アケビは皮を残して散らばっています。野猿が食い散らかしたのかもしれません。イノシシを捕獲する罠も設けてあります。この辺りは春にタケノコを取りに来る山中です。かつての特産だったミカンの畑も耕作放棄地が増しています。

私の家はJRの駅から500mしか離れていませんが、55年程前までは一面の田んぼで、新幹線建設時にトンネル掘削の残土で区画整理した商業地であり住宅地です。子供のころに田植えや稲刈りを手伝い、昼に炊き込みご飯のおにぎりをほおばったところです。数次にわたる全国総合開発計画が実施された高度成長時代でした。


(スガジイ)

2016年11月4日金曜日

日ネマッチング好例

羽田空港の物流拠点《クロノゲート》を見学しました。国道に面して石畳に円形の建物や庭園を配し都会とは思えない植栽の豊富さです。まるで美術館を思わせる雰囲気を醸し出しています。倉庫棟はこの後ろにあり、トラックの出入りも目立たないレイアウトです。

主ベルトコンベアは秒速2.7メートルの走行スピードです。ここから行き先別に枝コンベアに分別されるのですが、大きな段ボール包装から書類封筒まで様々なサイズの荷物が誤りなく流れるのです。国内向けは地域のゲートウエー拠点に配送され、アジア向けは羽田からANAカーゴのハブ空港である那覇に空輸され、ここから各国に送られて翌日には各戸に配達されるとのことです。海外の和食ブームの中、野菜や魚介類の生鮮食品も運ばれます。

目を見張ったのは、この施設で280人のネパール人が働いていることでした。代表の男女2人と会いました。語学学校に通いながら、週28時間の法定限度で働いています。トラックへの貨物の積み下ろしは重労働のようですが、二人とも就業環境に満足しており、正社員への登用を希望していました。企業側もネパール人の一生懸命さを評価していました。労使マッチングの好例なのでしょう。

(スガジイ)