2017年2月10日金曜日

松本榮一くんとの邂逅

高校の同級生で仏教研究家の松本榮一君とお会いしました。1974年にカトマンズで偶然に出会ってから長い付き合いが始まりました。松本君は写真家として出発し、1971年から3年間インドのブッダガヤで僧院生活を体験し、その後文筆活動も加えてインド、チベット、中国の仏教文化を紹介しています。
写真集では『チベット世界 極奧の大地』(小学館)等の仏教の伝搬過程、著書では『聞き書き ダライラマの言葉』、『聞き書き ダライラマの真実』(NHK出版)等、ダライラマ14世に知己を得てから40年にわたる親交の成果です。今般贈呈いただいたのは、昨年出版したイギリス人考古学者アレキサンダー・カニンガム著『マハボーディ寺』の翻訳とその解説をラームスループ・シン教授に取材・執筆した『カニンガムを読み解く』という稀覯本製作の大業です。原著の出版は1882年です。
マハボーディ寺の初期の寺院は、今から2,550年ほど前ブッダが苦行僧時代を6年過ごし、やがて成道された地である「ブッダガヤ」に、アショーカ王によって建立されました。インドにおける仏教の衰退とともに1,000年も放置され朽ち果てかけていた寺院を修復したのが、植民地時代にインド考古局を設立したカニンガムでした。カニンガムは、玄奘三蔵の『大唐西域記』を資料に修復したとのことです。
考古学の門外漢の私にとっては読み進めるのは苦痛と思いきや、古代から近代にかけてのインド社会の様子や周辺国との交わりがあたかも現地にいるような思いにさせるがごとくに書かれており、見知らぬ地への興奮がわいてきました。
(スガジイ)