2022年4月13日水曜日

 逍遥 田舎町のワクチン接種事情(1)#157

 

田舎町のワクチン接種事情(1

 

 

ネパールの新型コロナ感染は急速に収束に向かっているようだ。何が要因であろうか。疫学的原因究明が他の国の参考になると思われる。

 

昨年5月の連休明けから始まった町の新型コロナワクチン接種会場の手伝いに通っている。

わが町でも政府の方針に従ってまず医療従事者から接種をはじめ、その後65歳以上の高齢者に並行して接種を始めた。町の人口は昨年末で23,454人である。高齢者の割合はせいぜい3割程度であろうと推測していたが、なんと15百人もいるという。高齢者率45%である。老人養護施設が温泉を売りに増えているし、退職者が都市部から移住しているが、そればかりではないであろう。わが団塊世代のトップランナーは今年「後期高齢者」入りする。

 

外の入場整理の係りをかってでた。外のフレッシュな空気が望ましいのとコロナ禍の巣ごもりで増えた体重を落とす意図があった。ゼッケンには「誘導」の文字。民間の感覚なら案内係とするのであろう。マニュアルができている。だがこの種の事業は初めてなのでやってみなければわからないことが多いはずだ。走りながら適正行動に修正するしかない。国からのお仕着せなのだろうが、今では修正を重ねて第7版となっている。

 

第一日目から直面したのが強烈なクレームであった。接種は予約制であるが、とにかく予約が取れないのである。第一クールは電話予約である。私も9時の時報とともにダイヤルする。その後10回試みたが受付のコールセンターにつながらない。第二クールの予約からは電話に加えてインターネットも可能になった。インターネット予約も2-3分でうまったようだ。私は第三クールにインターネットで予約が取れた。この間、町役場で接種を主管する保健センターへの攻撃はすさまじかったようだが、集団接種会場の前線にいる私もあたかも苦情受付係になった。隣町は対象者に日時指定の予約券を送ったようである。人口はわが町の三分の一なのだが順位の正当化には苦心したと思われる。

 

こうした苦情が多いということはワクチン接種希望者が多いということであって、欧米のようにワクチン忌避者が少ないともいえる。新宿駅の広場ではワクチン陰謀論を奉ずるグループが連日キャンペーンを張っているが、田舎町にではそのような行動は見られない。とはいえワクチンを危険視する人はいるもので、わが妻もそのような友人の影響を受けて自分で予約をとろうとしなかった。

 

会場では高齢化社会のあり様やそれぞれの家庭の事情を垣間見る思いがある。老夫婦そろって来る人、いたわりあう姿や妻に叱咤されながらゆったり歩く夫。一人暮らしの老人、急病や緊急事態にはどうするのか心配になる。付き添いも高齢者の老々介護、他人ごとではなく妻の実家も96歳の老母と私と同級生の長男の2人暮らしである。嫁に邪険にされながらもしたがうばかりの老人、このような嫁を「鬼嫁」というのだそうだ。実の娘や優しい嫁に面倒を見てもらっている老人を見ると心が和む。

 

2022320日)