2019年5月13日月曜日

逍遥 湯河原・カトマンズ #117


「濡れ落ち葉」と「ワシも族」

4月中旬に帰国したらソメイヨシノがまだ咲いている。開花は平年並みだが、開花後寒い日が続いたという。八重桜は満開である。

DIAMOND onlineの記事『定年後「濡れ落ち葉」にならない人は家にいる時間をこう過ごす』を目にして、「それって俺のことじゃあ」と驚いたり、「ほかのジジイ達もそうなんだ」と安心したり複雑な心境である。昨年3月に胃の手術をして、家で女房に邪魔にされながら過ごした3ヶ月間であった。

《テレビを見ながらゴロっと横になっている。奥さんが買い物に行くと言い出すと「わしも」と言って立ち上がる。だから「ワシも族」。そして奥さんの後ろをついて歩く姿が、足にまとわりつく落ち葉のようなので、「濡れ落ち葉」。》まさに私そのものではないか。たまには重い買い物荷物を持ってやろうと一緒に行ったのに、世間様は全く違う見方をしていたのである。きっと、隣近所のうわさになっているんだろうなあ。スーパーで見かける夫婦は同類の「婦唱夫随」なのだろうか。

では、家にはどういう居方をしたらいいのでしょうか。
《まず大切なのが家事を分担することです。……「家事はゲーム」というイメージが大事です。決して家事を労働と捉えてはいけません。》3ヶ月ぶりにカトマンズの事務所で埃だらけの床や書類を清掃した。10分すると息が切れ、腰が痛くなる。日ごろご苦労されている奥様に感謝!

《掃除に加えて片付けをし始めると、……そこはそれまで奥さんが仕切ってきた領域ですし、……あくまでも「奥さんが主役で、自分は脇役だ」ということをわきまえてください。》
私は片付けが嫌いで、手の届く範囲にものをほって置くくせがある。奥様は潔癖性でそれを片付ける。「おーい、あれどこにしまった?」が奥様の逆鱗に触れるのである。

《掃除の次にチャレンジする家事としては、炊事・料理のほうがいいと思います。》
これは我が家には適用できないのではないかと思われる。「男子厨房に入るべからず」なのである。女の城を明け渡すはずがない。カトマンズで自炊をして気がつくのは、最低限口に入るものを作る限り、もはや料理の知識はいらないということである。市販のソース、調味料を素材に混ぜれば料理らしくなるのである。ただし奥方の前でこんなことをいえば、無事では済まないだろう。

《そもそも、まともに会話をしていますか?》
うーむ、これにはぐうのねも出ない。
《こちらから話題を振るのは少し照れくさいかもしれませんが、やってみると意外にできるものです。》
そもそも女房相手に限らず、さりげない会話が苦手な私なのである。

「ちがうだろ!」妻が言うならそうだろう (そら、2018年サラリーマン川柳第2位)

2019421日)