2022年6月16日木曜日

逍遥 新型コロナワクチン接種会場事情(2)#161

 新型コロナワクチン接種会場事情(2

 

花屋の店先にはアジサイの鉢植えがならべられている。沖縄は梅雨入りした。

関東地方はもう少し後になるだろうと思っていたが、本州南岸にはやばやと梅雨前線が停滞しぐずついた天気である。

母の日には娘からアジサイの鉢が届いた。
ビジネスは季節の先取りにせわしない。

 

湯河原町のワクチン接種は3回目もほぼ終わりに近づいている。

65歳以上高齢者の85%が終わった。12歳以上では70%ほどである。
全人口23,700人の町の年齢構成は日本の地方の例にもれず高齢化が顕著だ。
高齢者が
10,500人、1217歳が1,000人、511歳が850人と逆ピラミッドを呈している。

 

さて、接種会場の手伝いに行った動機だが、わが町にはどんな人たちが住んでいるのかを知りたかったのがそのうちの一つである。

1955年に湯河原町、吉浜町、福浦村が合併して湯河原町となったが、
小学校は旧3町村に分かれていたし、中学校は湯河原と吉浜にあったため湯河原以外に知人もなく、その湯河原も高校を卒業すると長く住んでいなかったのである。
今でも近所付き合いのほかはよそ者のような暮らしをしている。

 

会場ではねぎらいの言葉をかけてくれる人がいる。

ある日老婆が
「あんたも
大変てーへんだね、同じことをいちんち(一日)何回言うずら?」、
わたし「400回だら」、

年寄りとは土地の言葉で話すようにしている。


高齢者ほど他人の話なぞ聞いていない、わが道を疑いもなく進む人たちなのである。
注意を引くには慣れ親しんだ言葉がいい。
体温を測っても書類の提出部署に行くまでに忘れる。
部署の係りから問い合わせがあるので危ういと思われる人の体温は覚えておく。

 

かと思えば皮肉たっぷりの老人がいる。
わたし「コロナワクチンですか?」、
老婆「ほかにこんな所へ何の用で来るだら」、

隣に総合病院がある。定期健康診断と間違える人、インフルエンザワクチンと間違える人、予約日を間違える人、年寄りには勘違いが多いのだという言葉を飲み込む。

 

湯河原は温泉があり気候が温暖なことから首都圏に住む人の別荘やマンションが多い。
定年退職後に移住する人もいる。もともと都市部でも近所付き合いが希薄であった人たちだろう。なかには町のボランティア組織で活動する人もいるが、大半はコミュニティになじむつもりはさらさらない。
この人たちの対応を間違えるとたちまち最強の〈クレーマー〉に変身する。
感染を極度に恐れる人がいた。会場に着くと医療用手袋を二重にし、
マスクとフェースシールド、消毒液も自前。
説明するため話しかけると「近づくな」とすごい剣幕である。

 

外国人が思ったより大勢が住んでいるのがわかった。


ネパール人もいる。
スーパーのレジや倉庫係、旅館、アマゾンの従業員などである。
日本語の書類の記入を代行したり、医師、看護師との通訳をしたり重宝されている。

ネパールでは医療用語が英語なのでわかりやすくていい。

ひさしぶりにネパール語を話す機会ができたのがうれしい。
ネパール料理のおいしいレストラン情報を聞く。
彼らにとっても身近にネパールのことを知っているものがいて心強いのだろう、
さっそく
SNSが届く。少しは力になれると思う。


一方でネパール渡航が待ち遠しくなってフラストレーションがたまるこの頃である。。 

 

2022525日)