2016年12月16日金曜日

血脈

日本に40日間帰りました。

こんなに長く滞在したのは12年ぶりです。小学校や高校のクラス会、大学のOB会と旧交をかわしました。日本はどこに行っても街がきれいで静かなのです。雑然としたカトマンズを懐かしみながら、それでも心地よいのです。

羽田からバンコクまでの航空便は東アジア・東南アジア系の人が多く乗っています。乗り換えでカトマンズ行き搭乗待合室に行くと、異なる皮膚感覚を覚えるのは私ばかりではないでしょう。かつて、華僑はアラカン山脈を越えてインド文化圏には進出できないとされていました。華僑もこれより西との交易にも積極的だったのですが、やはり主役の印僑の世界はアラビア海をまたいだ東アフリカ、中東との大交易圏でした。

瀬川拓郎著『アイヌと縄文―もう一つの日本の歴史』(ちくま新書)では、アイヌが日本人の祖である縄文人であり、オホーツク海交易で活躍し、西日本に半島から大挙して渡来した弥生人と交わらず、近世まで縄文文化を守り続けてきた海漂民が、広大な海のネットワークを組織して、朝鮮半島南部や中国の華南地方にまで進出していた、といっています。

陳舜臣の小説『風よ雲よ』『琉球の風』にも、近世の九州や沖縄の人たちが南の海で活躍するさまが描かれています。私たちに縄文人の血が脈々と受け継がれているのでしょうか。

(スガジイ)