2017年11月24日金曜日

11月24日

11月初めに日本の援助案件である小水力プロジェクトの検査に行ってきました。極西部のダンガリ経由バジャン郡のチャインプールです。

おりしも1126日投票の連邦議会、州議会議員選挙の真っただ中です。バジャン郡は統一共産党(UML) が優勢との地元事情通の分析です。道中の都市ダデルデューラはデウバ首相の選挙区です。さすがにバザールはネパリコングレス党の旗で埋まっています。ダンガリの市内は投票日が127日のためか全く盛り上がりに欠けています。

2013年の制憲議会再選挙の期間にも同じ道を通っています。このとき印象に残ったのがマオイストの運動員が見当たらなかったことです。結果はやはり負けでした。

東西ハイウエー上ではマデシ諸政党の選挙運動に出会いますが、いずれも興奮状態で通り抜けるのに注意が必要です。丘陵地域ではめったにない選挙期間中の殺人事件が起こります。しかしながら小政党の分立でマデシ人口ほど議席を獲得できないのがマデシ諸政党の弱みです。

テライの大都市では大政党の攻勢が目立ちます。ネパールガンジを経てダン郡、サリヤン郡、ルクム郡へと走りました。サリヤン、ルクムは内戦初期にマオイストが自治政府を樹立したところで、さすがに道路沿い、バザール内はマオイストの党旗が波打っていました。

2008年の制憲議会選挙はマオイストが勝ちましたが、投票性向は次のようであったとされています。いわく、熱烈支持、既成政党忌避、強要がそれぞれ三分の一であると。内戦中あれだけ恐怖したマオイストに熱い期待が集まりました、労働者階層ばかりでなくカトマンズのインテリ中間層の支持があったことに驚いたものです。

マオイストはその後議席を減らしますが、過半数をとる政党がなくキャスティングボードを握ります。そして現政権ではネパリコングレス党と連立を組みましたが、この選挙では統一共産党(UML)と選挙協力協定を結びました。目先の利益に聡い人達です。理念や信義には価値をみない文化なのでしょうか。もっともわが国の政治も大差はないようですが。


(スガジイ)