2018年2月16日金曜日

2月16日


時にネパール人の楽天的な思考にほほえましく感じまた苛立ちを覚えることもあります。しかし、2月4日付リパブリカ紙の航空機事故に関する記事にはあきれるほかはありません。

“2017, a safer year for country’s aviation” 2017年は国内航空にとって比較的安全な年だった)は2017年に2件の航空機事故が発生して2名がなくなったにもかかわらず安全な年であったとしています。

2010-17年の8年間で事故がなかった年が1年、1件(死亡18人)が1年、2件(同合計91人)が5年、4件(同25人)が2016年でした。17年は確かに前年に比べれば件数も死者も少ないには違いありません。しかし『安全』とは無事故を表現する言葉ではないでしょうか。

見出しの表現はネパール航空庁(CAAN)の幹部の発言のようです。国際民間航空機関(ICAO)が2013年に指定した「重要な安全性の懸念(SSC)」が17年に解除されました。これを受けた幹部の表現のようですが、いかにも短絡的ではないでしょうか。

ICAOSSCに全航空会社が指定された国は昨年11月末現在で16ヵ国あります。この措置によって欧州連合(EU)はネパールの航空会社の域内乗り入れを禁止するとともに、国民にはネパールの航空会社を利用しないよう勧告しています。EUは禁止措置を継続しています。

CAANは安全性向上のため、パイロットの技能訓練や安全意識の向上訓練、また対地接近警報の安全装置を機上に搭載する等の改善を実施したとしています。また日本の援助で設置したレーダーの運用開始によって安全性が増すとも言います。

これまでの事故の状況を見ると、これらの措置では乗り越えられない山岳地域の厳しい地形と気象の問題を軽視することはできないと思われます。数年前事故の多いルクラに飛んだ時のことです。飛行場のある狭く急峻な谷間は厚い雲に覆われています。パイロットは雲の切れ間を探して谷をさかのぼります。雲の下の滑走路を見つけるためです。ポカラでも空港へのアプローチ時に視界が悪く山に激突しました。タプレジュンのヘリの事故も同じです。ジョムソンでは強風による事故が続いて起きています。

技術や安全意識や安全装置は必須条件としても、航空会社の安全な運航を励行する経営方針の再認識が求められる問題かと思われます。『事故ゼロ』が当たり前なのです。

(スガジイ)