2017年7月7日金曜日

7月7日


65日サウジアラビヤとエジプトがカタールと外交関係を断絶し、他に追随する国が出ました。湾岸産油国はネパールにとって経済の面で切っても切れない関係にあります。サウジとカタールは出稼ぎ労働者の最大受け入れ国なのです。
カタールで働くネパール人は40万人です。カタールの人口の20人に3人にあたります。カタールへの渡航者は一日当たり353人です。
海外出稼ぎ送金はすでに国内総生産の3割を超える規模に達しており、この国の経常収支に大きな貢献をしています。昨年のカタールからの送金は1,690万ルピーで、全体の17%です。生活水準向上への役割は決して小さくありません。しかし、この経済的な恩恵は彼らの大きな犠牲の上に成り立っているのです。
2014/15年度の死者は1,002人にのぼります。国別では、マレーシア427人、サウジ273人、カタール178人です。死因は、循環器疾病が358人、その他病死241人、交通事故119人、作業事故113人、自殺112人です。
病死が6割を占めているのは作業環境が過酷である証かと思われます。いずれの国も日中屋外で長時間作業するのはフィジカルに無理があります。さらに同情を禁じ得ないのが自殺です。なじめない異国で、過酷な労働の末に心の平衡を壊してしまうのでしょうか。いずれの死も、望郷の念に駆られながらの無念な結末であることは間違いありません。トリブバン空港で棺の到着を見るたびに同情を禁じえません。 
出稼ぎの増加は国内に雇用の受け皿が十分でないことですが、産業政策はこれにこたえようとしていません。外資の導入も経済成長を牽引する一方策ですが、投資者の要望に応えていません。その根っこにあるのは政治家、官僚、ビジネスマンの「甘え」といって過言ではないでしょう。
(スガジイ)